狭帯域光観察(Narrow Band Imaging = NBI※4)の技術説明
「NBI」は、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい狭帯域化された2つの波長の光を照射することにより、粘膜表層の毛細血管、粘膜微細模様の強調表示を実現します。血管を高いコントラストで観察するために、(1)血液に強く吸収される、(2)粘膜表層で強く反射・散乱される、という特長を併せ持つ光の利用に着目し、粘膜表層の毛細血管観察用に青色の狭帯域光(390~445nm)、そして深部の太い血管観察と粘膜表層の毛細血管とのコントラストを強調するために緑色の狭帯域光(530~550nm)を使っています。これにより、食道領域の詳細診断や大腸のピットパターン(腺管構造)観察のために広く行われている色素散布の代替法として期待されます。また、検査時間や不必要な生検の減少によって、検査の効率化への貢献が期待されています。
尚、擬似的な狭帯域画像を信号処理する方法では、粘膜組織の状態や観察条件によって結果が変化し、十分な効果を発揮できない恐れがありますが、「NBI」では、実際に照射する光の波長を変えているため、常に粘膜表層の毛細血管及び粘膜微細模様を効果的、安定的に強調処理することが可能です。
※4 | 「NBI」及び「Narrow Band Imaging」は、オリンパス株式会社の登録商標です。 |
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期待される適用分野と応用例
下咽頭、食道、大腸、胃などあらゆる分野の検査で研究されており、これまでに多くの論文や学会発表でその応用例が報告されています。
期待される適用分野 | 期待されている応用例 |
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下咽頭・食道 | 下咽頭がん、早期食道がん、バレット食道※5の病変範囲の同定と良悪性診断 |
大腸 | 微小ポリープの発見、近接・拡大観察と組み合わせたピットパターン(腺管構造)観察による悪性度診断 |
胃 | がん組織型の診断 |
※5 | 胃酸が食道に逆流し、食道粘膜が炎症を繰り返す結果、食道粘膜が胃粘膜の円柱上皮に置き換わる疾患。 |
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*オリンパス工業株式会社の発表資料より転載。